福井県立恐竜博物館に触れるティラノサウルスの化石があるってホント?恐竜はどのような生活をしていた?そのような疑問を持っている方も多いのではないでしょうか。
この記事では、恐竜博物館に100回近く行っている私が、ティラノサウルスの触れる化石や恐竜の生態について詳しくなれるダイノラボの展示をご紹介していきます。
ダイノラボはどこにある?

ダイノラボは、本館1Fと2Fにあります。本館1Fの恐竜の世界ゾーンからですと日本とアジアの恐竜エリアを通り、フクイラプトルロボットを越えた奥にラボの1F側入口があります。
入り口ゲートからですと、エスカレーターには乗らず、右手の階段で2Fに降りると右円周沿いにラボの2F側入口があります。
もし、ベビーカーや車いすなどで階段を利用できない場合は、本館3Fミュージアムショップを通り過ぎたところにあるエレベーターで本館1F又は2Fに降ります。吹き抜けの円周の奥に見えます。
ダイノラボの展示内容

ダイノラボは、恐竜が生きていた当時の姿かたちや暮らしぶりなど、常設展示室の全身骨格とは違う視点で、恐竜の生態が分かるエリアです。

ティラノサウルスの実物大の全身骨格が中央に位置し、それを囲むように恐竜の<食物><感じる><動く><守る><産む・育てる>という視点で展示されています。
また、実物の大腿骨化石や、復元ですが全身骨格の足先、足跡化石に触ることの出来る体験型エリアです。
それでは、早速、ティラノサウルスについてみていきましょう。
ティラノサウルス徹底解剖
ダイノラボの真ん中に鎮座するティラノサウルスの全身骨格やパーツ模型を基に、ティラノサウルスを徹底的に知り尽くすことの出来るコーナーです。
ティラノサウルスの歯

ティラノサウルスの歯を10倍に拡大した模型があります。

ティラノサウルスの歯の周りには、ステーキナイフのようなギザギザがありました。また、歯のギザギザの横には液体が流れ出やすくなる溝がありました。
歯全体は、バナナのような形で厚みもありました。普段は見えない歯茎の中の部分までを含めると長さが30センチ以上。
硬い骨も噛み砕ける強度があったのは、見えている歯の部分より、2~3倍長い歯根が奥深くまであったためです。
ティラノサウルスの足跡化石

ティラノサウルスの足跡化石です。写真は、小学生のティラ子の手と比べたもの。かなり大きいことが分かります。
この足跡化石は触ることができます!
【実物】ティラノサウルスの大腿骨

多くの方が触る中央部分はツルツルとしていて光沢があります。
実物のティラノサウルスの大腿骨の化石で、触ることができます。!
触れるティラノサウルスの足

写真は、小学生のティラ子の手と比べたもの。やはり大きい!
このティラノサウルスの全身骨格は、足先だけですが、触ることができます。
ティラノサウルスの頭骨

階段で2Fに上がると、頭骨と間近でご対面!今にも食べられそうな迫力!!
ティラノサウルスの頭骨は、上から見ると後ろの方で広がるT字のような形状をしています。その広がる部分に目の入る穴があるため、目が正面を向いているのが特徴です。
さらに、少し鼻先を下げた姿勢をとると、正面に視野を遮るものが無くなります。そのため、両目の視野が重なる部分では、奥行が分かりました。
ティラノサウルスは、立体で物を見ることができ、獲物までの距離を正確に把握していました。
ティラノサウルスの嚙む力

ティラノサウルスの歯は太く、頭骨は頑丈な構造をしています。そのため、噛む力は、非常に強く、約3~6トンに達したようです。
ティラノサウルスの糞化石と思われるものには、多くの骨の破片が含まれていることから、獲物を骨ごと噛み砕いていたのかも知れません。
ティラノサウルスの仙椎と仙肋骨

ティラノサウルスの腰の骨格は、5個の仙椎とその左右に付く仙肋骨、そして左右の骨盤によって構成されています。全ての仙骨と仙肋骨は互いにくっついていて一体化しています。
ティラノサウルスの肩骨と前あし

ティラノサウルスの肩は、肩甲骨と鳥口骨でできています。それぞれの境界の下部にある凹みが肩関節となっています。ここに上腕骨の上部が関節し、下部は肘関節を介して、平行に並んだ2本の骨である手根骨と、手の甲を作る中手骨、そして指を作る指骨が繋がっていきます。
骨盤と後ろあし

ティラノサウルスの骨盤は、腸骨・恥骨・坐骨の3つで構成され、その真ん中に空いた穴が股関節となっています。ここに大腿骨が関節し、下部はひざ関節を介して、脛骨・腓骨と関節します。


その先には足首関節を作る足根骨と、足の甲を作る中足骨、そして指を作る趾骨が繋がっていきます。それぞれの指の先端の趾骨は末節骨と呼ばれ、ティラノサウルスでは前あしと同様にかぎ爪状になっています。
ティラノサウルスの第9尾椎

ティラノサウルスの首は、10個の頸椎と、その左右に付く頚肋骨でできています。一番後ろの頸椎は、徐々に胴椎の形状に近づいていきます。
頸椎の数は一般的な肉食恐竜と同じですが、ティラノサウルスの首が他の肉食恐竜よりも短いのは、頸椎の一つ一つが前後に短いためです。
ティラノサウルスの第6胴椎

ティラノサウルスの胴は、13個の胴椎とその左右に付く肋骨で構成されています。
12・13番目の胴骨は骨盤に挟まれており、13番目のものは肋骨を失っています。 それぞれの肋骨は、胴椎の下部と上部の2点で関節し、上部の関節ば胴椎の横に伸びた突起の先端にあります。
ただし、化石は変形していることが多いため、上手くかみ合わないことがほとんどです。
プロジェクションマッピング

ティラノサウルスを基にしたプロジェクションマッピングです。写真では分かりづらいのですが、実際に見ると立体感があります。恐竜の頭骨は複数の骨から出来ていることや、脳エンドキャストの説明が1~2分で分かるようになっています。
脳を囲っている脳函に、脳や中耳・内耳が収まっていた空洞があり、その空洞をかたどった物がエンドキャストです。
恐竜の食物

恐竜は何を食べていたのでしょうか?
実際に恐竜が何を食べていたかを知るのは、とても難しいことです。しかし、あごや歯の形状、体格、糞化石や胃腸に残された内容物の化石、胃石などを調べることで、ある程度推測することができます。
ディプロドクスの下あご

ゴルゴサウルスの歯骨

エドモントサウルスの右下あご

草食恐竜には、エドモントサウルスのように、植物を上下の歯ですりつぶすための小さな歯が隙間なく並んで面になっているものがいました。小さな歯が何層にも下に待ち構えている状態で、上層の歯がすり減っても下層の歯がかみ合わせを維持できる構造です。
「デンタルバッテリー」という名の構造です。
アロサウルスの右下あご

多くの肉食恐竜の歯は、このように円錐形か平たくとがった形をしています。また、歯の縁にはステーキナイフの様に細かなギザギザがあります。
ノコギリ状のギザギザの付いている歯の事を「鋸歯(きょし)」といいます。
アロサウルス 頭骨

カマラサウルス 頭骨

アロサウルスの何倍も巨大な体ですが、頭はコンパクトなサイズです。
竜脚類では葉を摘み取ることに適したスプーン状の歯や、櫛の様に、歯の隙間に木の枝を通して葉を引きちぎる食べ方をした恐竜もいました。
草食恐竜の糞化石

糞化石を調べると、消化されなかった食べ物の破片などが残っていることがあり、何を食べていたのかわかる場合があります。
感じる

恐竜が生きていた頃、どのような器官を使って身の回りの情報を感じ取っていたのでしょうか?骨に残された手がかりから恐竜の感覚について分かってきました。
コリトサウルスの頭骨

パラサウロロフスの頭骨

パラサウロロフスのトサカは特殊な構造になっていました。トサカは空洞になっており、空気を振動させて、トロンボーンのように音を出していたようです。また、内耳という器官を分析したところ、トサカから発せられる音域を特によく聞く取れていたようです。パラサウロロフスは集団で生息していましたので、トサカで音を出して仲間とのコミュニケーションをとっていたと考えられています。
このトサカの骨ですが、頭骨が伸びたように見えますが、鼻の骨が伸びたものです。
マンテリサウルスの脳函断面

脳が収まっていた空洞から脳の形と大きさを推測することができます。また、脳のどの感覚器官が発達していたかが分かります。このことから、恐竜が鳥類へ進化する過程で嗅覚よりも視覚を重視するようになったことが分かっています。
ティラノサウルスの脳のエンドキャスト

ティラノサウルスの脳は、草食恐竜よりも大きかったようです。特に、匂いに関する部分が大きく発達していました。
このことから嗅覚が優れていたことが分かっています。
動く
恐竜のすがたや動き方はどのようにして分かるのでしょうか?
筋肉は化石として残ることはほとんどありません。そのため、恐竜のすがたや動き方を知るには、骨に残された情報を読み解く必要があります。具体的には、骨の関節の様子を調べたり、骨格から筋肉の様子を推定したり、足跡化石を観察したりすることが重要になってきます。
ティラノサウルスの後ろあしの模型

恐竜の筋肉は、化石の情報に加えて、恐竜の生き残りである鳥類や、恐竜に近縁なワニ類を参考にすることで、ある程度知ることができます。
ティラノサウルスの後ろあしの模型も、現生のワニや鳥類、それに恐竜化石を基に再現されています。
足跡化石と走る速さ

足跡化石は、恐竜が動いていた様子の直接的な記録です。どんな方向や歩幅、速度で歩いていたかなどを知ることができます。
さらに、恐竜の生活が分かることもあります。例えば、草食恐竜が肉食恐竜に追いかけられていたことや、竜脚類が群れで移動し、親がこどもの恐竜をかばう様に歩いていたことが分かる化石もあります。
推定された筋肉の情報を基に、体格や足跡化石の情報などを加えて、恐竜の走る速度を計算することができます。
例えば、獣脚類のガリミムスはダチョウと同じくらいの時速60キロで走ることができたと推測されています。
守る

恐竜たちは、逃げるだけでなく、体を硬くしたり、コブやトゲで反撃したり、様々な方法で身を守っていました。
アンキロサウスル科の尾

ヨロイ竜類の装甲板 /剣竜類の骨板 /ステゴサウルスのトゲ

ヨロイ竜類は、硬い骨の板で身を守って、尾の先のコブを振り回して肉食恐竜と格闘していました。中でも、アンキロサウスル科の尾には、がっしりとしたコブがありました。
ステゴサウルスに代表される剣竜類の背中には板状の骨が並んでいました。 また、尾の先に大きく細長いトゲが複数あるものもいました。
カスモサウルスの頭骨

カスモサウルス等の進化的な角竜類の頭には、前方に突き出した大きな角と、首にはフリルと呼ばれるえり飾りが発達していました。防御や威嚇に役立ったと考えられています。
ハドロサウルス科の皮膚痕 /パラサウロロフスの皮膚痕/エドモントサウルスの手

体の表面に傷がつきにくいように、厚いウロコの皮膚を発達させた恐竜も多くいました。特に、ハドロサウルス科などの鳥脚類では、皮膚の痕の化石が多く見つかっており、詳しい様子が分かっています。
本館1F 恐竜の世界ゾーンの鳥盤類エリアには、皮膚痕の残っているミイラ化石の展示がありましたね。興味のある方は、こちらのページをご覧ください。
産む・育てる
多くの恐竜は硬い殻の卵を産んでいたことが分かっています。恐竜の卵は、大きさやが様々で、形も様々でした。
恐竜の卵は、直径が約4cmから50㎝の様々な大きさのものが見つかっている!
また、巣の中で卵を抱えた状態の親化石や、多くの素が一か所にまとまて作られた集団営巣など、鳥類に匹敵する発達した繁殖行動を行っていたことが分かっています。
さらに、一部の恐竜では、卵から生まれたこどもを育てていた証拠が見つかっています。
例えば、マイアサウラでは、生まれたばかりのこどもの集団が、巣の中で化石として発見されています。これらの化石の歯には、植物を食べたことで削れた痕が残っています。親が巣までエサを運び、こどもが巣の中で食べていたためと考えられています。
一部の恐竜は鳥の様に抱卵したり、エサを巣まで運んで子育てしていた!
ヒプセロサウルスの卵

歴史上、初めて見つかった恐竜の卵化石です。全長10mを超えるヒプセロサウルスのもので、卵も比較的大きなものです。
竜脚類の卵

恐竜の卵は大きさがだけでなく、形や表面の装飾が多様です。 竜脚類の卵は球状で、表面には粒上の盛り上がりが無数にあります。
一方、羽毛恐竜であるオビラプトル科の卵は長いだ円形で、表面には畑のうねのような装飾があります。
シチバチの抱卵化石

羽毛恐竜のオビラプトル科のシチバチが巣で抱卵したまま化石になったものです。卵を覆い隠すように前あしを広げ、後ろあしは体の下に折りたたまれ、鳥類が抱卵している姿に似ています。このような卵を保護する行動は、同じ羽毛恐竜で鳥類に近縁なトロオドンでも確認されています。
シチバチ(オビラプトル科)の胚

卵が孵化する前に化石となったシチバチの胚化石です。骨は卵の殻の中にあり、頭骨、大腿骨、坐骨、上腕骨、是骨などが確認できます。卵の中で、恐竜がどのような姿勢で成長していたかを知る手掛かりとなりました。
マイアサウラの成長

マイアサウラの体重は、ふ化直後は約2㎏でしたが、生後1年で約380㎏に。成熟を迎える3才ごろには約1600㎏にまで達していました。成長の早い段階で急激に体が大きくなったようです。
恐竜の成長

竜脚類の大腿骨

骨の内部には年輪の様に1年に1つずつ形成される成長痕が残されることがあります。これを調べることで、例えばマイアサウラは3歳で成熟し、体格が最大になるのは8歳ごろでした。
一方、ティラノサウルスは、成長速度が速い時期は13~17歳で、体重が一日に2㎏ずつ増えていき、20歳ごろには成長がほとんど止まりました。
ティラノサウルスは20年で体長約12メートル、体重約5トンの成体(大人)になる。ワニでも体長4メートル、体重約400キロに達するまでに25年かかるのでティラノサウルスの成長速度がいかに速いか良く分かる。
まとめ
ダイノラボの展示はいかがでしたか。
中央に鎮座するティラノサウルスの全身骨格は目を引くものがあります。プロジェクションマッピングもあり、さらに実物化石や足跡化石を触ったりできるダイノラボ。常設展示室とは少し違った雰囲気で恐竜の生態に詳しくなれるエリアでしたね。
恐竜の歯や脳の構造だけでなく、恐竜も卵を産んで子育てをしていたと分かりました。そのような生態が分かると、恐竜は太古の昔の生きですが、何だか身近に感じられますよね。
ぜひ、実際に福井県立恐竜博物館に訪れて、実物化石を触ったり、恐竜の生態について学んでみてくださいね!





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